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防災コラム「透明なお守り」Vol.4

プロローグ

新年度がスタートして約2週間・・・

新しい生活には慣れましたか?

入学・就職など、まさに【新生活】を迎えた方はもちろん、進級したり、会社の在籍年数が1年増えただけで、何かが大きく変わったわけではないと感じている方も、「4月・春・新年度」というキーワードや、世の中全体が醸し出す「スタート!」の雰囲気に背中を押され、新しい習い事を始めたり、部屋の模様替えをするなど、プチ新生活を始めた方もいらっしゃるのでは?

今年は3年ぶりに各地で桜のお花見も自由にできるところが多く、マスク着用時間も徐々に減り「やっと」「ようやく」「久々に」という言葉もよく耳にする気がします。

緊張感から解放される時、人の心は「ホッ」とします。

そして、「ホッ」とした瞬間、自分が自覚していたよりもずっと、心は常に休まらず不安定であったり、身体にも力が入り「無自覚のまま緊張状態を強いていた」ことに気づくものです。

これは被災者も同じです。

災害直後や復旧期だけでなく、復興期から創生期へと世の中や生活が変わっていく中、街の様子とともに落ち着きを取り戻したように見えたとしても、まだまだどこかで不安と緊張感から離れることができない方は多いのだと思います。それがたとえ、12年経ったとしても・・・。

さて、今月のコラムの前半では「新生活と防災」についてお届けします。
そして後半は、前回の続き「東北の被災地の旅」をレポートしたいと思います。先月はざっと4日間の足取りだけを駆け足でお伝えしましたが、今月からはもう少し各地の様子を掘り下げてご紹介し、「災害・復興」の様子を通して「防災」について考えたいと思います。

それでは、長編防災コラム【透明なお守り】Vol.4

最後までゆっくり、じっくり、少しずつ、お読みください。

透明なお守り

過去の災害を正しく知り、次の災害へ備えることで守られる命・生活・未来・・・

防災・減災には、2つの【袋】が必要です

1つ目は、災害避難グッズを詰め込んだ【防災袋】

2つ目は、防災・災害の知識や情報、考え方や向き合い方など「心の準備」を詰め込んだ【透明なお守り袋】

防災・災害に関する基礎知識はもちろん、過去の被災地や被災者から学ぶ “あの日” と 被災後から今日までの時間経過の中でこそ見えてくる現地や当事者の経験や心の声(本音)を少しでも理解することで、あなたの“もしも”の時の行動や未来もきっと変わっていくことでしょう。

災害は常に「想定外」

幅広い視点や立場から得られる情報や考え方を日頃から学ぶことは、大切な命を守るだけでなく、不安や冷静さを失った災害現場・被災地で、少しでも安全で安心な避難生活を送るためにも非常に重要なこと。

このコラムでは、「形ある防災グッズ」から「形なき防災グッズ」まで幅広く情報としてお届けします。

必要なグッズは人それぞれ違います。

アナタにとって最適な“お守り”を準備し、“もしも”に備えて頂ければと思います。

「新生活」と「防災」

冒頭でも触れたようにこの季節は「新生活のスタート」を迎える方が多いかと思いますが、同時にそれは「防災の見直し」のシーズンでもあります。また、進学や就職で引っ越しされた方はもちろん、自分の生活が変わっていないと思っていても、思わぬ落とし穴があるものです。

この季節はどなたにとっても「防災の見直し」をお勧めします。

さて、あなたはどのタイプでしょうか?

引っ越した方へ

(1)ハザードマップでチェック!

あなたが新たに生活を始めたその地域は、台風などの風水害や土砂災害、そして地震が発生した時、どのような影響を受けやすい場所ですか?まずは、ハザードマップを見てください。

枚方市広域ハザードマップと防災ガイド

(2)実際に歩く!

そして、第一次避難所など、“もしも”の時に避難すべき場所、その場所までの道のりについて、しっかり確認して下さい。この時、地図やネットなどで確認するのではなく、是非、時間をみつけて「実際に歩いて」確認して欲しいと思います。

地図上で確認し、頭にだけ入れた情報は、いざという時に役立たないことや想定外も多々あります。

思ったより道幅が狭かったり、目標になるものが少なかったり複雑な道で迷ったり、想像したより急な坂道だったり…。地図だけでは把握できない情報も行動することで事前に入手し対策することにつながります。

進学・就職した方へ

(1)ハザードマップでチェック!

新たな通学・通勤の道のり、そして勉強を学ぶその校舎、お勤めする勤務地は、災害時にどんな危険がありますか?

引っ越していなくても、日中過ごす場所が変わったならば、やはり改めてその地域の安全性を確認することは大切です!

(2)実際に歩く!

学校や職場で災害に遭った時は、どこに避難するのかご存知ですか?被災するのは自宅にいる時とは限りません。まずは確認、そして実際に歩きましょう!

自分が日頃生活している住み慣れた場所以上に、不慣れな所で災害に遭った時の方が、当然さらに危険や不安は高まります。

時間に余裕がある時、例えば今のような春から初夏のに向けての気持ち良い季節に、お散歩ついでに避難場所まで実際に歩いておくことをお勧めします。

“もしも”の時、ほんの少し心に余裕ができるだけで、冷静な判断による正しい避難ができるかもしれません。

家族構成が変わった方へ

結婚、子どもの誕生、両親との同居、ペットが家族の一員に加わるなど、私たちの生活環境は絶えず変化を繰り返します。

たとえ、生活している場所が変わっていなくても、一緒に生活している家族の構成や生活スタイルに変化があったなら、これまで通りの防災準備でも無事避難ができるのかを改めて考えて見て下さい。

特に、家族に乳幼児や高齢者・介護者など、「一人での避難が困難な方」がいる場合、果たして指示された場所へ無事辿り着けるのだろうか?例えば地図上では約10分の道のりでも、実際に子どもを抱っこしたり、杖や車椅子が必要な家族とともに移動するとなると30分以上を要する可能性だってあるのです。

だからこそ、可能な限り、一度は実際に指定されている避難所まで歩いて試して確認することをお勧めします。

そして同時に、準備すべき防災グッズや非常時の連絡先リスト、集合場所など家族ルールも、新たに見直す点や追加すべきことがないかの確認もしておきましょう。

その他、さらに具体的に挙げるなら。

例えば防災食でしたら、前回のコラムで特集した通り、事前に試食したり、柔らかいもの、アレルゲン、減塩など、新たに家族になった方が非常時でも安心して栄養がしっかり摂れるものが準備されているかの確認も避難所で心身ともに健康を維持するためにも大切です。

また、ペットがいる場合、地震や火災でビックリして逃げ出してしまうケースも非常に多く、普段の迷子とは違って災害で混乱した状況下では、飼い主との再会も困難になりがちです。それらに備え、日頃からゲージにすぐ入ってくれるように訓練しておいたり、ペットの写真を準備しておくなどのほか、ペット用の災害グッズや、そもそも避難先がペットとの同行避難を受け入れている地域であるかなども調べておく必要があります。

家族構成が変われば、避難方法・災害対策はおのずと変わります。

自分の生活に変化がなくても

自分の生活場所や生活スタイルに全く変化がなかったとしても、暮らしている街には、あなたが気付かぬ間に変わっているかもしれません。大きなショッピングセンターの新規出店や、行政による区画整理や開発工事などにより、周囲の環境が完成に向けて数年単位で徐々に変化していくこともあるでしょう。

そんな中でもしかしたら、災害時の避難ルートや指定する避難所にも見直しがあり、知らぬ間にあなたの第一次避難所が変わっているかもしれません。

あなた自身の暮らしに変化がなかったとしても、1年に1度、こうした災害時の避難に関する見直しはともて大切です。また、行政や自治体のルールや条例の変更によって変わっていくこともいろいろあるかもしれません。平常時に「こんな場合は?」と疑問に思うことはきちんと調べておき、正しく情報を理解し整理しておけば、非常時にも冷静な判断が素早くできるはず。

この「透明なお守り」で繰り返しお伝えしていますが、防災は、「知識だけで終わらせず、体験し経験しておくことが何より大切」です。それこそが「災害時に役立つ防災体験」となるのは間違いありません。

もちろん経験していても防災準備は完璧ではありません。それでも、一度でも試しておけば、想定外への対応も少しは冷静にできる可能性があるのです。

3.11 あの日から12年後の風景【石巻編】

今年の3月10日から13日までの4日間、東北の被災地へ行ってきました。

前回は、その足取りを簡単に振り返ったのですが、今回からそれぞれの地域について深く掘り下げながらご紹介していきたいと思います。

今月は、初日に訪れた石巻の様子をお届けします。

石巻市地図
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より
石巻市地図
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

石巻のプロフィール

まち

宮城県の中央よりやや北側、太平洋に面した三陸地域の港町で、仙台空港から車で約1時間!宮城県内で仙台に次ぐ第2の人口となる町です。(2023年2月現在、人口約13万5千人)

グルメ

B級グルメ「石巻焼きそば」が有名です。二度蒸しした茶色い麺をさらに魚介ダシで蒸し焼きにした“出汁の旨味”が凝縮された焼きそばで石巻庶民の味!まずは魚介ダシの風味を十分を味わい、そのあとソースをあとがけして食べるのが本場の流儀。

石巻焼きそば

そして、三陸で獲れる豊富な海の幸の宝庫!漁業と水産加工業が盛んなこの地域です。

石巻ならではのものとして特記すべきものは

  • 牡蠣(宮城県は広島に次ぐ牡蠣の一大産地で、その約6割が石巻)
  • くじら料理(牡鹿半島はかつて日本屈指の捕鯨地区として栄えた鯨の町)
  • 金華サバ(限定期間に石巻で水揚げされた大型で脂肪が約15%以上の真鯖だけが認証)

3.11 震災被害

最大震度6強を記録し、約4,000人の命が奪われた 「国内最大の被害市町村」

津波により非常に広い地域が甚大で壊滅的な被害となり、避難しようとしていた数えきれない車も海に引き込まれ、車中に閉じ込められたまま犠牲になった命も多くあります。

また、沿岸部の南浜地区には、津波によって漂流した車のガソリンなどが引火し大規模火災が発生し、この地域だけでも津波や火災によって500人以上が命を奪われたり行方不明となりました。

旧北上川河口から遡上した津波により、旧市街地全域が水没・浸水、新北上川河口の流域部の広域地域でも、水没・浸水被害がひどく、石巻湾から太平洋(外洋)へ続く沿岸部の多くの町が壊滅的な被害に遭いました。

旧北上河口航空写真
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

門脇(かどのわき)小学校《震災遺構》

この海に面した南浜地区にある小学校は、「地震・津波・火災」の3つの被害に遭いました。

地震発生時、校内に残っていた224人ほどの児童たちは、教師とともに学校裏にある日和山に避難。この小学校では、日頃から避難訓練がしっかりと実施されており、この日もスムーズに避難できたことにより、当時校内に残っていた児童・教師全員の命が救われました。

ただし、全てが避難訓練通りではありません。

あの日・・・

地震後の津波は想定内でしたが、津波によって押し流された車のガソリン漏れなどにより、非常に大きな火災が発生。余震や津波によって消化活動をすることもできず、結局3日後にようやく消火できたそうです。約6メートルの津波は大切な子どもたちの思い出の品を流し去り、そして津波被害を免れたとしても、その後の火災により、校内に残っていた多くの大切な思い出や記録が消失する被害に遭いました。

南浜津波火災当時の様子
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

また、この時到達した津波の高さだけで考えれば、「垂直避難」によって3階建ての校舎屋上でも十分に命を守ることはできました。けれど、その後の想定外の火災発生により、小学校の屋上へ避難してきた住民はたちは、津波被害を逃れた校舎2階部分から、教壇を足場に使うなど工夫して校舎を脱出し、日和山へさらに避難することになりました。

たとえ、津波から逃れられたとしても火災が発生したら?

この被害により、垂直避難だけでは全ての被害から逃れるには限界があるという新たな問題が浮き彫りになりました。

この門脇小学校は、昨春(2022年)に震災遺構として3.11の震災で唯一「津波火災被害」に遭った建物として一般公開されました。

南浜津波火災当時の様子
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

黒焦げになってしまった小学校

あの瞬間まで、全国のどこにでもある小学校と同じように、子供の元気な声が飛び交う平和な時間が流れていた場所には、今、黒焦げになった机と椅子が並び、その変わり果てた姿が当時の様子を生々しく静かに伝えています。

南浜津波火災当時の様子
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より
南浜津波火災当時の様子

火災で焼失したもの、そして、火災から免れたものも展示されています。

あの日まで、笑顔で友達と過ごし学びあった時間と記録や記憶がさまざまな形で残されていました。

「記憶を紡ぐ」

このエリアは、3.11体験者の記憶や想いがぎゅっと詰まっている空間です。

この展示を担当した学芸員の方が、「災害」だけを見つめるのではなく、その背景には「生命」や「人生」「日常」があるという事も伝えたい…と強く願い思いを込め、一つ一つ言葉と絵で表現した作品が静かに並んでいる【自身の人生に重ねて考えてもらう空間】です。

門脇小学校展示品

生きていることを悔やみ続けながら今を生きる人の声

©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

大人たちが悲しむ姿を一番近くでみながら子どもなりに震災に向き合い生きてきた当時子どもだった人の声

©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

震災は現在進行形であり震災からの復興はそう単純ではないと訴える福島からの声

©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

これらの作品が訴えてくる言葉の力はとても鋭く、観ている者の胸に突き刺さり、心をえぐり、激しく揺さぶり・・・とても苦しくなります。そんな非常に強い声が静かに佇んでる「記憶を紡ぐ」という場所は、「今、生きている」という現実と各々が対峙する空間でもあると思います。

実物展示

体育館には、津波に流され大破した消防車や、震災から1ヶ月後の南浜に被災者の力強い想いが込められ立てられた「がんばろう!石巻」の看板、そして当時、石巻のあちこちに立ち並んでいた応急仮設住宅団地の一部も実物展示されていました。(看板の展示は、毎年3.11前後2ヶ月間のみの特別展示となります。)

震災後の南浜がんばろう!石巻
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

仮設住宅は中にも入ることができます。また壁の一部は、当時実際に使用されていたものも展示されており、子どもが貼ったシールや落書き、穴が空いてしまった壁を段ボールで塞いだあともなど、リアルな生活の様子を知ることができます。非常に多くの我が家を奪われた被災者が数年という長期にわたり生活を営んだ場所を想像できる展示です。

©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より
©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

震災遺構

当時を語り次世代へ伝承するための非常に有効な存在であると同時に、それが伝える力が強ければ強いほど、被災者の心の負担が大きなものであることも間違いありません。

震災直後から絶えず被災地各地を悩ます「遺すか、解体か」という問題。被災者の心を苦しめ続ける答えのない課題の一つです。

被災体験をしていない人間が理解を深め、また後世に伝えるためにも大切なものでありますが、その遺構が存在している以上、一生苦しみや悲しみから逃れられない被災者がいらっしゃること、そしてその方たちに無理を強いることであることを決して忘れてはいけません。

答えは見つからないけれど、それでも一つ一つ、真剣に考えなければいけない「震災遺構」

あなたはどう思いますか?

石巻南浜津波復興祈念公園

門脇小学校の目の前、より海に近い場所に広がる祈念公園には、慰霊碑・追悼の広場・祈りの場など、失われた命を弔う場所のほか、震災を記録し未来へ繋ぐ直径40メートルの前面ガラス張りの円形施設「みやぎ東日本大震災津波伝承館」などがあります。この建物の高さ6.9mは津波の高さを表しています。

ここは38.8ヘクタールの非常に広大な公園ですが、震災前は約1,700世帯の住宅がありました。それらは、地震で津波が押し寄せ、火災に遭い、さらには地盤沈下もした平野部で甚大な被害に遭った場所の象徴的な場所です。そうして、かつてここにあった大部分のものは被災しましたが、 それらの多くが“震災遺構”として園内にその存在を残しています。

日和山・日和山公園

津波でほぼ全てが流された地域、南浜を見下ろし、そして穏やかな太平洋を望める小高い場所。市民の憩いの場であり、公園には四季折々の植物が楽しめる各々が素敵な思い出とともに記憶している場所でしたが・・・

あの日、3月11日はこの山を必死で目指し周辺住民は避難してきました。そして雪が降る中、目の前で自分たちの街が津波にのまれていく様子をただ呆然と見ることしかできなかったという、とても辛く悲しい出来事が記憶に追加されました。

震災当時は全てが津波で流されてしまいましたが、年月を重ねる中で災害公営住宅が建設され、先にご紹介した復興祈念公園も整備されるなどして、少しずつ復興への歩みを進めています。

被災地訪問の時、なるべく幾つかの場所には繰り返し訪れ、その復旧・復興の様子を見続けるようにしてきました。今回、12年経った南浜を見ながら思い出した記憶があります。

たしか震災から3年半を過ぎた頃だったと思いますが、日和山から見下ろすだけでなく、実際に南浜地区を初めて歩いた時。防潮堤工事の準備が進む中、住宅があった場所を歩くと、足元の土に混じって茶碗のカケラや小さな子供のおもちゃや文具などが多く目に飛び込んできました。たくさんの「生活していた証」である被災物を目にするたび胸が苦しくなったことを今でも鮮明に記憶しています。

©石巻市震災遺構 門脇小学校展示より

・・・さて、写真もかなり増量してお届けしてきた「東北レポ石巻編」今回はここまで!実は、石巻には3日目にも少し足を運んだのですが、それはまた改めてお届けします。

次回は、宮城県から一気に北へ向かい、岩手県の様子、そして12年を迎えた3月11日の様子をお届けしたいと思います。

エピローグ

今回はこの季節に合わせた「新生活と防災」と「東北レポ・石巻編」をお届けいたしましたが、いかがでしたか?

3.11の被災地というのは、非常に広くて全てを見て回ることは難しく、皆さんにこうしてレポートとしてお届けするにも限界があります。けれど、それでも、これらのレポを読んで、少しでも東北の被災地に関心をもち、現地へ行ってみたり、また自分なりに気になる場所を調べて、震災当時のこと、そして現在の様子を知っていただければと願っています。

そして、被災地や被災者のことを知ることで、「自分なら?」と自身を重ねて想像してください。そうすればきっと、あなたにとっての防災のヒントが見えてくると思います。

今年で12年・・・。

被災地はもちろん、全国の小学生以下の全員があの日を知りません。

各地の被災者の方も、これからは「風化させない」ことと同時に、「知らない世代にどう伝えていくか?」が大切になるとおっしゃっていました。

1.17神戸淡路大震災も今年で28年を迎え、およそ30歳以下の方にとっては生まれる前の災害。あの時を知っている大人たちが語り継ぎ、伝え続ける努力を怠れば、次にやってくる“もしも”の備えはできません。

今、南海トラフ地震が発生する確率が日々高まっています。
もし大きな地震がやってきたら、当然、私たちは太刀打ちできません。けれど、心の備え「透明なお守り」に一つでも多くの準備があれば、人間が元来備え持つ「生きる力」が少しでも発揮できると考えています。

東北レポは、3.11を風化させないためにだけお届けしているのではありません。

東北被災者の方の心に寄り添って欲しい、そして、被災地が自らの経験を身を削って発信してくれている意味、「同じ経験や思いはしてほしくない」・・・という思いを、一人でも多くの方に伝え、理解してもらい、生かしていただきたいと強く願っているからです。

そしてもう一つ大切な理由、それは「今は、“震災後”ではなく、“震災前”」であるからです。

今月も長いコラム、ここまでご精読くださりありがとうございました。

また少し、あなたの透明なお守りに、大切なものが増えていたら嬉しいです。

それではまた。

防災のあたらしいカタチ提案

見える防災グッズ Vol.4

ー 衛生グッズ ー

前回のこのコーナーでは防災食をご紹介しました。健康を維持するために美味しくバランスの良い食事を摂ることが、身体だけでなく心の元気にも繋がるとお伝えしましたが、その際、十分気をつけて欲しいことが【衛生面】です。身体に必要な栄養だけでなく、衛生面にも気をつけなければ病原体も体内へ取り込んでしまうという危険もあります。

災害時、避難所暮らしの中で衛生的な生活環境を保つことは非常に難しく、しかし、これを軽んじることは重大な病気を患う可能性を高まらせてしまいます。食中毒や感染症による集団感染のほか、怪我が化膿することで結果的に命を落とすことだってあるのです。

ということで、今回は【衛生】環境を保つのに役立つグッズをいくつかご紹介いたします!

洗い流さない泡石鹸(temamori)

大豆を主成分に作られた泡フォームをもみ込むだけで、洗浄・除菌・保湿をしてくれる水不要の泡石鹸。

植物由来だから小さなお子様や高齢者も安心して使用できるのはもちろん、アルコール消毒と違って手荒れの心配もない安全安心なグッズです。temamoriは全身に使えるので、避難所暮らしでお風呂に入れない時にも使えるほか、日頃から外出時にも持ち歩けば飲食する際など、いつでもどこでも衛生を保てます。

水不要の泡なしシャンプー(ウエット手袋)

手袋をして頭皮を揉むだけで洗髪できる、水がない環境でも髪や頭皮を清潔にできるウエットシート。

洗い流しや拭き取り不要で、手袋型になっているので使いやすさはバツグン!

使用後はサッパリ感を得られると同時に、フルーティフローラルの香りで癒しも得られます。緊張感が続く災害時、衛生を保つだけでなく、少し心がホッとできるアイテムなのも嬉しいですね。

長期保存用ボディタオル

5年の長期保存が可能な28×56センチの大判ウエットタオルです。

厚手でふんわり優しい肌触りなので、災害で水が使えないときにも全身を拭いて心と身体をスッキリさせることができます。無着色・無香料・ノンアルコール、そして1つ110円とお手頃価格ですので、数日以上にわたって水が使えない場合に備えておくアイテムとしてもおすすめです。

携帯用シャワー(ファルウォッシュ)

ペットボトルに装着するだけで簡単に簡易シャワーの完成!赤ちゃんのオムツ交換・女性用携帯ビデ・介護時の洗浄用具など、幅広い用途があります。

災害時のほかアウトドアなど、水が貴重なシーンで少量シャワーにして使用でき、衛生を保つことができる便利グッズです。

ハンディ浄水器(mizu-Qプラス)

川・家・プール・お風呂の残り湯など、さまざまな水を安全安心な「飲料水」に変えることができるコンパクトな携帯型の浄水器。約350リットルの浄水が可能!

ペットボトルに取り付けるだけで有害菌をシャットアウトし、繊維状活性炭でカビ臭や塩素を除去してくれる優れものなので、災害時はもちろん、キャンプなどアウトドアのシーンでも活躍するアイテムです。

今回ご紹介したものは、雑貨店KURAWANKA実店舗(枚方ビオルネ3階)でも取り扱っていますので、ぜひ店頭へお越しいただき、商品を実際に手に取ってみたり、スタッフから説明を聞いみてくださいね!

筆者プロフィール

日経新聞まちかど人間録

筆者 プロフィール

石元 彩

西宮市の短大卒業時に阪神淡路大震災を経験し学生生活を突然打ち切られたまま社会人となる。

その後、1.17の震災を機に誕生したラジオ局「FMひらかた」に開局から閉局まで25年間携わり、後半11年間は東日本大震災の復興支援や情報を毎週発信するほか、常に社会に埋もれそうな小さな声やマイノリティの存在にスポットを当て、心に寄り添う言葉にこだわり番組を制作。ギャラクシー賞選奨2作品、奨励賞1作品受賞。


このコラムでは、これまで得た経験・知識・人脈、マスメディアの世界だからこそ触れられたもの全てを活かしながら、防災や災害、被災地の現状や被災者の声、さらには、その先に繋がる”生きるヒント”にもなり得るものを”見えないお守り”と称してさまざまな視点からお伝えできればと思います。

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